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zoom RSS 映画「ホールドアップダウン」感想まとめ※2015/12/7修正

<<   作成日時 : 2006/06/09 18:19   >>

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■映画「ホールドアップダウン」感想まとめ




※2015.12.7修正 
WOWOWの放送で久しぶりに見たので、ちょっと書き直しました。
なんで昔こんな小論文みたいな書き方してんだ。(お年頃?)


HUD本編まとめです。DVDが出たらちゃんとした感想書く、なんて言っていたものですから、ちゃんと?というか、ただの観賞感想文です・・・。

「ホールドアップダウン」感想もくじ



  • 1.木俣と佐川コンビの人間味

  • 2.ブラックジョークの意味

  • 3.ホテル銀遊楼別館とは?

  • 4.“ゾンビに呪われた状態”とは?

  • 5.元牧師と神

  • 6.銀遊楼別館の戦いはなんだったのか?

  • 7.ゾンビは天使か?

  • 8.まとめ




1.木俣と佐川コンビの人間味


どこかの雑誌だったかで
「佐川と木俣の関係は、井ノ原と三宅の関係と逆。佐川が引っ張っていくから、この銀行強盗を持ちかけたのは佐川のほうだろう」

と言う内容の発言があったのを思い出した。
ちょっと、意外だった。
シナリオブックを読み返した際に、佐川のキャラクター紹介の欄に「とある映画を見て『銀行強盗って簡単かも……?』と思って」と書いてあったことから、提案したのは佐川。でも、そのときの彼は冗談にすぎず、その案に軽率に飛びついて実現させてしまったのは木俣なんじゃないか。
佐川が引っ張っているように見せて、その行動原理の根本には木俣がいる。

今回、V6が扮する登場人物の刑事、神様に見えるストリートミュージシャン、元牧師のデコトラ運転手、そして強盗犯。
その中でも、木俣と佐川2人のやり取りはテンポがよくて、面白い。強盗という犯罪を犯す彼らの行動には、お金、そして恋、という軽薄で、単純な理由しかない。
ゾンビも出てくるし、人がギャグのように死ぬブラックユーモアのこの作品の、よくも悪くも「人間味」を担っているのが木俣と佐川だと思う。


2.ブラックジョークの意味


この作品の笑いは、その多くが非日常の笑いで構成されている。
特に車に轢かれたり、凍ったり、岡田くん演じる沢村の身に起きた出来事はブラックジョークとしかいいようがない。
「有り得ない」ことをわざわざ描くことで、この作品自体のリアリズムを否定しているのかと思った。
リアリズムは、一元的な「この世界」を描く。
しかし、この作品は一元的なリアリズム構造の中で描かれながらも、この世を越えた二元的な世界を描いている。
そのことの象徴でもある。


3.ホテル銀遊楼別館とは?


この映画を鍵を巡るどたばたコメディだと思って見ていると、後半はあれ……? なんで? と思ってしまう瞬間がある。
ホテル銀遊楼別館に入る辺りから。
そこになぜか、タイミング良く他のメンバーも集い、5人(凍っている沢村を除く)は戦いあう。
このシーンで、それまでコメディとして見ていたわたしは虚をつかれた。

メーキングDVDのダイジェストでそのシーンは「ゾンビに呪われた5人」という言い方をされていたが、呪われていたとしたらそれは一体いつからだったのだろうか。

普通ゾンビは感染するというから、平松がゾンビに襲われたときだろうか。彼らゾンビのカテゴリである、建物に入った瞬間だろうか。

平松が建物に入った瞬間を見返してみると、現実では廃墟なはずが、建物は明るく、小奇麗で、営業しているように見える。
視覚とは、心の中に見えた風景そのもの。
平松には、「そう」見えていたのだ。

この場面は平松がこれから見る幻覚に先立って、観客がその幻覚の導入に立ち会っている場面なのだろう。


4.“ゾンビに呪われた状態”とは?


では、彼が見た幻覚とはなんだったのか。そもそも、ゾンビに呪われた状態、とはなんなのか。
一般的にはゾンビに心を乗っ取られた状態、すなわち自我の消失。
自我、というものは実は表層意識(意識化しやすい層)と深層(意識化が困難な層)の二面がある。
表に出ている意識が失われたとしても、普段本人さえ認識していない深層意識は失われえることはない。
返って、表層意識が失われることにより、今まで抑制していた深層意識が表立つ。

このシーンはほとんどアクションシーン、つまり暴力で成り立っている。
物語における暴力性と深層意識の関係については、村上春樹が新聞のインタビューで、その作品の中で暴力や性を描くのはなんのためかと聞かれて「意識をこじ開けるため」と答えていた。

この暴力シーンを、わたしは意識の奥のトンネルを抜ける深層意識を描くことだと解釈した。
激しい戦いから、平松の深層心理はどれほど激しい力で、心底深く抱え込まれてきた罪責感によって、苛み脅かされて続けてきたかが分かる。


5.元牧師と神


健くんも言っていたけれど、誰が主役かと聞かれれば森田くんが演じた平松だったと思う。

平松の性格は、かなり内向的である。信仰心も強いが、思い込みが激しく、時折暴走しがちである。
シナリオのキャラクター紹介を読むと、平松は両親ともにクリスチャンで、神学校で育ったというという生粋のキリスト教徒という設定が書かれていた。
その平松は、ある事件をきっかけに牧師を辞めた。
彼にとって牧師を辞めるというのは、今までの自分を捨てるにも近い。
彼は何度も「自分は罪深い」という言葉を口にする。
だからこそ、沢村に神様を投影し、必死に助けようとしていた。それは、彼がその自分の罪を許されるチャンスだったからだ。

戦いの後、平松は晴れやかな顔をして天に祈りをささげている。
「主よ、我を憐れんでください・・・わたしは嘆き悲しんでいます・・・」

自分が「嘆き悲しんでいて」自分を「憐れんでほしい」と神に、願っている。自己、を取り戻した状態といえるのではないか。
それは、戦いを終えた平松が屋上で見た朝日が上る、あの素晴らしい情景のように、平松の心に光が差し込んだのだろう。

この建物に入ってからの出来事は、内に内に篭っていった彼の意識を引き上げてくれた。平松が主人公だというのは、この作品の後半部が、平松のある種の成長譚であるからだ。

パンフレットで「ホールドアップダウン」の意味について森田くんがこのように語っていた。
「なんかHIGHとLOWとか天国と地獄、明るい暗いとか…そういうことだとおもうんだよね。
誰にでもあるじゃないですか、そういう部分って。
良いところもあれば悪いところも、表と裏も持ってて。
でもなんか、そういうのをとっぱらったところに、本当の人間の……真の魂があると思ってるんで、そこを感じてもらえればいいかなぁ。

「真の魂」。言いたかったことこれだ、森田くんの言語センスに追い付けない。


6.銀遊楼別館での戦いはなんだったのか?


では、戦いのシーンとは一体なんだったのか。
あの建物に入ってからみんなゾンビ化した。あの建物自体が平松の深層意識に作られたものだという可能性はないだろうか。
平松が抱えてきた激しい感情が、この建物に後で辿り着いた木場たちをも取り込んだ、のではないか。

富樫義博の「レベルE」に掲載されている話を思い出した。
異常な集中力(ストレス含む)により、自分の深層心理の中に仲間閉じ込めてしまうという話。
その話では、恐らく閉じ込めたであろう張本人(物語内でははっきりとは示されていないのだが、おそらく)がなにかにむけてものすごい集中力を発揮したときに、その膨大なパワーに周りまで引き込んでしまう。

平松が目覚めたとき、それは彼の心の中での葛藤が終わったときだった。
そう考えると、あの戦いは平松自身の葛藤とも思える。木俣や木場や、佐川や星野の姿を借りた、平松の精神的葛藤。
平松が激しい葛藤から解放されたと同時に、木場たちも解放された、とも思える。


7.ゾンビは天使か?


残りの謎、ゾンビについて。
ゾンビというものは、一般的によみがえった死者のことで生きている人間に感染し、死者にする恐れられる存在だが、今回ソンビがやったことといえば、平松を慰めただけだ。

ゾンビたちは、翌朝みんな笑顔で「天国」に帰って行く。怖さなど微塵もない様子は、まるで天使のようだ。
天使とは、神の使者として人間に神意を伝えたり、人間を守護したりすると信じられるものである。
神はきっと、平松を見捨てていたのではない。
立ち直るのは結局は自分自身でしかないが、ゾンビたちを使って平松にそのきっかけをちゃんと与えている。


8.まとめ


シナリオブックで、脚本も務めたSABU監督が撮影についてこんなことを言っていた。
「今回は時間がなさ過ぎですねぇ(笑)。本当だったら、あと10稿くらいは書き直してるんで。最後の六人集まるホテルも全部意味のあるようにきっちり作っていく。牧師の意味であったり、ゾンビたちとも依然どこかで会ってた、とか。ある意味、メチャクチャやから(笑)。
(略)
下手に説明すると、それでペースダウンしたりする可能性もあるなと。」

時間のなさとスピード感を優先した結果の余白の部分。
それがこの作品のミステリーとなり、複雑な構造を作りだした。

映画なんだから、変なゾンビの館に入ったらみんな呪われちゃって、戦い始めちゃって翌朝解放された、というエンターテインメントとして楽しめばいいと思う。
SABU監督も「お祭り映画」と言っていた。
ただ一見、スピード感が命で、各所にブラックユーモアが散りばめられていて、くだらなさが満載の作品のように見えて、複雑な構造をしていることがこの作品のエンターテインメント性を高めているのではないかと思ったので、記事を書きました。

あと、V6ファン的には岡田くん以外のメンバーのめちゃくちゃかっこいいアクションが見られるのがおすすめ!!
ワルいV6が見られる!! SABU監督サンキューー!



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